知られざるオランダの文化

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歌詞 Tijd Genoeg - Doe Maar オランダ語(6)

今回は、レゲエ・スカ系のバンド Doe Maar(ドゥ・マー) の Tijd Genoeg(タイト・へヌーフ)です。

以前紹介した Smoorferliefd がシングルとして出たときのB面がこの曲でした。

Doe Maar はダブルボーカルです。Smoorferliefd を歌ったのはベースの Henny Vrienten(ヘニー・フリンテン)ですが、この曲を歌っているのはバンドの発起人でもあるキーボードの Ernst Jansz(エルンスト・ヤンス)。

エルンストは後年のインタビューで作曲について聞かれた際、Tijd Genoeg は数少ない自分の代表曲だと述べています(本当は多作なんですけどね!)*1

彼はキーボード以外にサックスやギターもできて実に多彩な引き出しを持ち、また自然をこよなく愛している素敵な人物なのですが、その話はまた今度。

 

まずは曲をどうぞ〜


Doe Maar - Tijd Genoeg

彼らは言う、時間はほとんどないと
それゆえ焦りと悔いばかり抱えている、
今日という日はこれ以上続いてくれないと
 
でも僕に取ってはこの一日はとても長い
独りでいるのは怖くなる
そして僕は一日中君に憧れているんだ
 
 
だって誰かが言っていたから
時間は充分にある
君にも僕にも誰にでも、と
 
そして君が望めば、一瞬一瞬が君のものだ、
君の求めるであろう全てが
でもそのときは僕を一人にしないで
 
 
彼らは言う、時間が短すぎる
彼らは言う、空が暗くなってしまうと
彼らは言う、頭に雨が降る降る降る
 
でも、たとえ日々が灰色だったとしても
僕はよくわかっているよ、もし君が望んだならば
君は暗雲を青空に塗り替えるのだろうと
 
 
*(繰り返し)
だって誰かが言っていたから
時間は充分にある
君にも僕にも誰にでも、と
 
そして君が望めば、一瞬一瞬が君のものだ、
君の求めるであろう全てが
でもそのときは僕を一人にしないで
 
サビだけ元の歌詞(コーラス付き)を載せておきます。スローテンポなので発音練習にもいいかもしれません。
Want wat ook een ander zegt (ander zegt)
Er is tijd genoeg (tijd genoeg)
Voor jou voor mij voor iedereen

En als je wilt dan is elk ogenblik voor jou (voor jou)
En alles wat je vragen zou (vragen zou)
Maar laat mij dan niet alleen
 
 
内容は、時間がないと嘆きながら日々を消化している現代人に向けたメッセージと言えるでしょう。リリースは1981年、つまり約40年前ですが、2020年代を生きる我々にも響きます。どうやら人間は時間ができればできるほど詰め込んでしまう生き物のようです…。
私だったら、忙しい日の夕方なんかに、一息ついてこの曲を聞いたらリラックスして前向きになれそうだなぁと思います。忙しい日はそんな暇ないというのが最大の問題ですけど(笑)
 
 
細かいところで気になったのは、2番とサビの歌詞の仮定法の時制の違いです。
 
 2番後半の動詞は wou と verfde で過去形なので「もし君が望んだら、君は暗雲を青空に塗り替えるのだろう」としました。
サビ後半の動詞は wiltis で現在形(意味上では未来形)なので 「君が望めば、一瞬一瞬が君のものだ」としました。 
 
すると、2番の方は「塗り替え」られなかったように聞こえますが、サビの方はこれから実現する可能性が高そうです。つまり、2番は「僕」が「君」に対して、余裕を取り戻そうとすればできたかもしれないのにしなかったねと振り返っている部分なのではないでしょうか?
あまり自信がないので、わかる方がいればぜひコメントお願いします。
 
それではまた次回! Tot volgende keer!

*1:Ernst Jansz interview (deel 4) https://www.youtube.com/watch?v=GhCqgpFKQYw